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こちらは、2019年以前の資料が詰まっています!貴重な資料が満載
☆2018年8月24日開催のCIL国立主催学習会にて、古賀典夫さんがおはなしになりました内容を、以下にご紹介します。
(9月5日更新)
◇社会保障切り捨ての中で進められる「我が事・丸ごと」政策の下
★安倍政権は、社会保障をどのようにしようとしているのか
今年6月15日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針
基本方針2018)を読んでみました。
これは、「経済財政諮問会議」が検討してきたもので、政府全体の
倍内閣は、毎年6月に取りまとめてきました。
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経済財政諮問会議議員名簿
議長 安倍 晋三 内閣総理大臣
議員
麻生 太郎 副総理 兼 財務大臣
菅 義偉 内閣官房長官
茂木 敏充 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)兼 経済再生担当大臣
野田 聖子 総務大臣
世耕 弘成 経済産業大臣
黒田 東彦 日本銀行総裁
伊藤 元重 学習院大学国際社会科学部教授
高橋 進 日本総合研究所 チェアマン・エメリタス
中西 宏明 株式会社日立製作所 取締役会長 兼 執行役
新浪 剛史 サントリーホールディングス株式会社 代表取締役社長
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「社会保障は歳出改革の重点分野である。」と記載されています。
やはり、国の予算の中で、以下に切り捨てるかの検討対象になって
あるいは、消費税増税の話都のセットで記載されています。
国の予算がひっ迫しているなどと言われますが、予算増額の対象と
、必ず、一定の予算を確保すべし、とされているものも書かれてい
「我が国の防衛力を大幅に強化する」
「中長期的な視点で官民共同研究開発投資プロジェクトを具体的か
大するとともに、国の予算について安定的に研究開発に取り組める
る取組を進める。政府研究開発投資について、・・・対GDP比1
指し所要の規模の予算が確保されるよう努める」
gdp(国内総生産)は、2017年で役456兆円なので、政府
を4兆5600万円以上、毎年度確保しろ、と言っているわけです
その上で、研究の重点分野について、次のように記載しています。
「認知症、再生医療、ゲノム医療、革新的エネルギー技術、インフ
新などの社会的課題解決に資する研究開発を、優先順位を付けて推
●「尊厳死」の推進
最近厚労省は、「尊厳死」のことを、「人生の最終段階における医
どと述べていますが、基本方針2018の中には、これを推進する
ます。
「人生の最終段階における医療・ケアの在り方等について本人・家
十分話し合うプロセス」について、「国民になじみやすい名称の一
人生の最終段階における医療・ケアについて考える日の設定等を想
るのです。
・自民党の中では、再び、「尊厳死」法案の検討が始まっています
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2018年08月29日(水)
◆政調、終末期医療に関する検討プロジェクトチーム
11時(約1時間) 705
議題:終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律(案)
必要性
と課題
鈴木裕也氏(山王メディカルセンター予防医学センター医師)より
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★「我が事・丸ごと」の登場
2015年6月2日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン
、同年7月15日に「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部」の
れました。
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本部長:厚生労働大臣
本部長代行:厚生労働副大臣
本部長代理:厚生労働大臣政務官
本部長補佐:厚生労働大臣補佐官 総合政策参与
副本部長:厚生労働事務次官、厚生労働審議官、大臣官房長、大臣
国会担当)
事務局長:政策統括官(総合政策担当)
事務局次長:大臣官房審議官(社会・援護・人道調査担当) 大臣官房審議官(医療介
護連携担当)
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という役職者の下に委員として、厚労省の局長などが配置されてい
そして、三つのワーキンググループが設定されています。「地域力
グループ」、「公的サービス改革ワーキンググループ」、「専門人
ープ」です。
この第1回会議の資料には、次のように記載されています。
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今般、一億総活躍社会づくりが進められる中、福祉分野においても
転換し、福祉は与えるもの、与えられるものといったように、「支
手側」に分かれるのではなく、地域のあらゆる住民が役割を持ち、
自分らしく活躍できる地域コミュニティを育成し、公的な福祉サー
け合いながら暮らすことのできる「地域共生社会」を実現する必要
具体的には、「他人事」になりがちな地域づくりを地域住民が「我
体的に取り組んでいただく仕組みを作っていくとともに、市町村に
くりの取組の支援と、公的な福祉サービスへのつなぎを含めた「丸
支援の体制整備を進めていく必要がある。
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そしてこの実現本部は、2017年2月7日に、「「地域共生社会
て(当面の改革工程)」を発表します。その概要から何点か引用し
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実現に向けた工程
平成29(2017)年:介護保険法・社会福祉法等の改正
◆市町村による包括的支援体制の制度化
◆共生型サービスの創設 など
平成30(2018)年:
◆介護・障害報酬改定:共生型サービスの評価など
◆生活困窮者自立支援制度の強化
平成31(2019)年以降:更なる制度見直し
2020年代初頭:全面展開
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今年度からスタートしている「共生型サービス」などが、この「「
」政策の一環としているのです。
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かつての我が国がそうであったように、人生における様々な困難に
、人と人とのつながりにおいて、お互いが配慮し存在を認め合い、
うことで、孤立せずにその人らしい生活を送ることができる。また
え手」「受け手」という固定した関係の下で提供されるのに対し、
りや支え合いにおいては、支援の必要な人を含め誰もが役割を持ち
々の生活における安心感と生きがいを得ることができる。このよう
がりの再構築が求められている。
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社会保障が充実していなかった過去を思い出せ、と言いたいのでし
れや子殺し、排除や隔離が行われてきたことなどなかったかのよう
「人と人とのつながり」の再建を強調するのに、地域でともに学び
については、一言もありません。
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しかし、高齢化や人口減少の急速な進行を背景に、地域でのつなが
。また、高齢化や生涯未婚率の上昇により、高齢者のみの世帯や単
により、家庭の機能の低下も生じている。さらに、会社への帰属意
での人間関係も希薄化する傾向にある。このような日常の様々な場
がり」の弱まりを背景に、「社会的孤立」や「制度の狭間」などの
いる。
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「地域でのつながりは弱まっ」たのは、産業政策に基づく構造変化
果たしたはずです。
家庭にいろいろな負担をさせて行こうということ事態が問題ですが
いとやって行けない状況を作り、不安定雇用労働者を経済的に厳し
てきたのも、政府の労働政策のおかげでしょう。
不安定雇用を進めれば、「会社への帰属意識」が後退するのは当然
今年の通常国会では、「働き方改革関連法」が成立しました。長時
でも可能となる「高度プロフェッショナル制度」を導入しましたが
ての政府の位置づけは、結局生産性向上が主目的なのです。
年金支給開始年齢を70歳ぐらいまで引き上げようという動きもあ
、地域のために行動することはますます困難になるでしょう。
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(「つながり」の再構築の必要性)
このような公的支援制度の課題に加えて、人々の暮らしにおいては
」の問題や、制度が対象としないような身近な生活課題(例:電球
出し、買い物や通院のための移動)への支援の必要性の高まりとい
している。また、軽度の認知症や精神障害が疑われ様々な問題を抱
援制度の受給要件を満たさない「制度の狭間」の問題も存在する。
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「電球の取り換え、ごみ出し、買い物や通院のための移動」が「制
いような身近な生活課題」の例として書かれていますが、これは、
象としないものではないでしょうか。そこに「障害者」の制度から
に思われます。「障害者」の制度は、もはや、なくしていくものと
しれませんね。
介護保険の制度の対象を狭めて行けば、ますます、こうした「制度
」が増やされていくでしょう。
●同じ2月7日には、「地域包括ケアシステムの強化のための介護
改正する法律案」が国会に上程されました。
この法案が成立した結果、「共生型サービス」が制度化されました
0本の法律をひとくくりにして改定するものでしたが、この中に介
けでなく障害者総合支援法や児童福祉法の改定も入っていたのです
また、社会福祉法の改定も入っており、第四条2項に次のような条
した。
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地域住民等は、地域福祉の推進に当たつては、福祉サービスを必要
びその世帯が抱える福祉、介護、介護予防、保健医療、住まい、就
る課題、福祉サービスを必要とする地域住民の地域社会からの孤立
ビスを必要とする地域住民が日常生活を営み、あらゆる分野の活動
確保される上での各般の課題を把握し、地域生活課題の解決に資す
機関との連携等によりその解決を図るよう特に留意するものとする
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★「地域包括ケアシステム」との関係は
介護保険制度の中では、「地域包括ケアシステム」ということが2
された介護保険法に位置づけられました。この「地域包括ケアシス
省のホームページには以下のように記されています。
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厚生労働省においては、2025年(平成37年)を目途に、高齢
自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自
人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サ
地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。
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そして、「地域包括ケアシステムは、おおむね30分以内に必要な
される日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位として想定」し
しかし、高齢者の置かれた状況は、それとは程遠い現状にあります
推進協議会の『地域包括ケアを問い直す 高齢者の尊厳は守れるか』に、以下のよう
な記述があります。
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『平成28年国民生活基礎調査』においては、主な介護者は、「親
家族など)が、70・9%、「事業者」は13・0%である。同居
い手は、「配偶者」が25・2%で、「子」21・8%、「子の配
わえて、介護時間の割合は、介護度が上がるにつれて「ほとんど終
は高くなる。すなわち在宅介護は、主に同居親族がおこない、介護
終日介護が必要となる、ということである。
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また、2017年3月21日に発表されたきょうされん理事会の「
ステム強化法案」の問題点と障害福祉への影響」という声明の中に
述があります。
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昨年NHKは、独自の調査を行ない「いま日本では、2週間に1度
きている」と報道しました。また警察庁は、介護保険がスタートし
2015年までに生じた「介護・看病疲れ」による殺人事件を66
ます。こうした痛ましい事件は、介護保険法の施行以降減るどころ
増しています。しかも警察庁の発表は、遺書があるか加害者の供述
だけです。心中事件で加害者も亡くなったケースや、遺族が穏便な
件として扱われなかった介護関連死の総数は、国も自治体も把握し
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★介護保険統合の動きを示す資料
こんな中で、障害者総合支援法の制度を、介護保険制度に統合しよ
本格化しようとしています。
社会保障関係の学者もこのことを警告しています。
例えば、山下幸子さん(淑徳大学総合福祉学部教授)、伊藤周平さ
教授)、茨木尚子さん(明治学院大学社会学部教員)など
以下は、こうした動きを示す資料と思われるものを、紹介します。
●社会保障審議会・介護保険部会
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介護保険制度の見直しに関する意見
平成28年12月9日
Ⅲ その他の課題
(2) 被保険者範囲
○ 介護保険の被保険者の範囲は、制度創設当初から、65歳以上が第
0
歳以上64歳以下の者が第2号被保険者とされている。
○ この被保険者の範囲については、制度創設時も大きな議論となり、
設後も、「制度の普遍化」(要介護となった理由や年齢の如何に関
とする全ての人にサービスの給付を行い、併せて保険料を負担する
)を目指すべきか、「高齢者の介護保険」を維持するかを中心に議
。
本部会でも過去、度々議論を行ったが、その拡大について結論を得
に至っている。
○ 一方で、制度創設当初と現在を比較してみると、
・ 介護保険制度創設以来、介護保険の保険料負担者である40歳以上
40きたが、平成33年(2021年)をピークに減少していくこ
・ 平成52年(2040年)には、30歳以上64歳以下人口が、制
歳以下人口と同程度なる。
・ 40歳以上人口に占める40歳以上64歳以下人口の割合は低下し
035年)には50%を下回ることが見込まれる。
・ 第1子を出産する年齢が高齢化しており、制度創設時は65.4歳
0
歳であったが、平成61年(2049年)には、65.6歳の母親
・ 政府において、「地域共生社会」を実現するための取組が進められ
労働省においても、介護保険法、障害者総合支援法、子ども・子育
、各制度の成熟化が進む一方で、既存の縦割りのシステムには課題
った視点を踏まえ今後検討を行っていくこととされている。
などの変化もあり、今般の介護保険制度の見直し検討に際して、改
について議論を行った。
○ 被保険者範囲の拡大については、受益と負担の関係が希薄な若年世
得
られないのではないかとの意見や、まずは給付の効率化や利用者負
すことが先決であり、被保険者範囲の拡大については反対との意見
則に関する改正障害者総合支援法の国会附帯決議に十分留意しなが
意見、障害者の介護は保険になじまないため、税財源により慎重に
見があった。
○ その一方で、将来的には介護保険制度の普遍化が望ましいとの意見
続可
能性の問題もあり、今から国民的な議論を巻き起こしていくことが
見もあり、介護保険を取り巻く状況の変化も踏まえつつ、引き続き
適当である。
------------
上記の介護保険部会の審議と報告書を基に、今年の8月18日にな
』の鈴木直・医療福祉部副部長がネット版に次のような文章を含む
「いよいよ「本丸」ともいえる高齢者と障害者の介護統合の議論が
可能性がある。」
「統合されれば介護が必要になった理由を問わずに給付が受けられ
0~64歳の人も老化に伴う病気以外で介護が必要になってもサー
ようになる。」
私は、来年あたりからこの種のキャンペーンが始まると思っていた
も始まっているようです。2016年の審議と報告書を持ち出して
図的な動きのように思われるのですが。
●「「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部について」から
出所:厚生労働省「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部第1回
15日
「「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部」(以下「実現本部」
る。「地域共生社会」の実現を今後の福祉改革を貫く基本コンセプ
ずは平成29年の介護保険法の法改正、30年度・33年度の介護
さらには30年度にも予定されている生活困窮者支援制度の見直し
的に幅広く検討を行う。
● 経済財政運営と改革の基本方針2018から
------------
「全世代型社会保障制度を着実に構築していくため、総合的な議論
から順次実行に移せるよう、2020年度に、それまでの社会保障
状況をレビューし、「経済財政運営と改革の基本方針」において、
方を含め社会保障の総合的かつ重点的に取り組むべき政策を取りま
の具体化を進める。
----------
基本方針2020で、社会保障についての総合方針を出すというこ
。
「障害者総合支援法」については、今から3年後の見直しなので、
に改定法案が提出されてくるでしょう。
介護保険法についても、3年後の見直しですから、2021年に改
れるでしょう。
生活保護についても、今年から3年間かけて160億円分の予算を
すから、2021年には、新たな方針が出てくる可能性があります
★介護保険制度と障害者総合支援法の介助は違う
応益負担問題、利用限度額の問題など、大きな違いがありますが、
援助についても、重要な違いがあります。
介護保険制度で、利用できない解除について、以下は、豊島区のホ
の引用です。
●家事援助(介護保険では生活援助)について
「原則として、同居家族のいらっしゃるかたには提供できません。
等が障害や疾病等の理由により、またその他やむを得ない理由によ
合は、利用が可能な場合もあります。」
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利用できないサービスの例
他の専門職により行われるべき行為(リハビリ・マッサージ・医療
通所施設への送迎
趣味活動や旅行への同行
銭湯・理美容室等への外出介助
話し相手・茶飲み相手
草むしりや花木の手入れ
ペットの世話
金銭管理
大掃除、床のワックス掛け等
家具・電気器具などの移動・修繕
来客の応接や留守番
救急車への同乗
洗車、家屋の修繕など日常的な家事の範囲をこえるものなど
----------
☆ピープルファーストジャパン声明文(2016年10月25日掲載)
津久井やまゆり園虐殺事件を糾弾する
2016年7月26日、朝のテレビニュースは大変ショックで、言葉にな
りませんでした。
頭の中は、なぜ!なぜ?と混乱してしまいました。
何度もやまゆり園に献花に行った仲間がいます。
外に出るのが怖くなった仲間がいます。
重度と言われる兄弟のことを思った仲間がいます。
入所施設での生活を思い出して涙した仲間がいます。
社会の偏見や差別を感じ、自分を責め、怒りに震える仲間がいます。
やまゆり園にいた友だちがどうなっているのか心配している仲間がいます。
同じ目線に立てる仲間が心のケアに入っていないことを不安に思っている仲間がいます。
「障害者はいらない」という言葉は私たちに向けられています。
小さいころからバカにされて、お荷物だと言われた私たちだからわかります。
人に負けないほど困難を越えてきた私たちだから許せません。
人の命を支配することは誰にもできないし、しようとしてもいけません。
施設のカギは私たちを閉じ込めておくためだったのではないですか。
なぜ重度と言われる仲間が施設に集められているのですか。
一緒に暮らせなかった家族は、預けなければならなくなった理由を話してくれませんか。
職員は、人として私たちたちと向き合ってくれていたのか振り返ってくれませんか。
みんな、私たちの気持ちを希望を夢をちゃんと知ってくれていますか。
私たちにつながる人たちのうわべのやさしさが犯人に間違いを起こさせたのではないですか。
犯人の措置入院と薬物使用が事件の背景のように言われています。
でも、立ち止まってみてください。
いま、私たちの暮らし方を国や行政や親が勝手に決めています。
根っこから変えないと変わりません。
入所施設はいりません。
いま、私たちの自由になるお金はどんどん減っています。
いま、私たちへの虐待はどこでもいつでもおきています。
入所施設を建てかえるお金を地域移行に使うことが、2度と虐殺が起
きないことへつながります。
私たちは虐待を許しません。
私たちは障害のない人と同じ権利を求めます。
知的障害と言われる私たちは、つながり、力を合わせます。
私たちはいきいきのびのびゆうゆうと生きていきます。
今こそ、入所施設のすべての仲間が地域で暮らせるように声をあげます。
私たちは障害者である前にひとりの人間です。
<行動提案>
こんな大きな事件がおきても、障害のある私たちの意見をきかれること
はありません。
私たちの声をもっと社会にとどけなければいけません。
介護のたくさんいる仲間が、施設ではなく街で暮らしていることをもっと
知ってもらいたいです。
私たち1人ひとりのことも知ってもらいたいです。
「障害者はなくしてしまえ」という優生思想と闘うために、同じ気持ちの
当事者グループ、市民の運動と協力して、この秋、全国各地で集会をしよう。
2016年9月21日
ピープルファーストジャパン会員一同
(管理者よりおことわり:原文にはルビがふられています。元のファイルの変換がうまくいかずにルビなしで掲載させていただいたことを、おわびいたします)
■「特定非営利活動法人 ガチャバンともに生きる会」が声明を発表しました。以下に掲載します。
相模原市「障害者」大量殺傷事件についての見解 2016年9月20日
私達の仲間に手を出すな!!
優生思想に基づくヘイトクライムと断固闘う
特定非営利活動法人 ガチャバンともに生きる会
7月26日、神奈川県相模原市の知的障害者施設やまゆり園で、入所している「障害者」19人が殺害され、職員3人を含む27人が負傷させられるという大量殺傷事件が起きました。
突然無残にも生を絶たれた19人の方のご冥福をお祈りするとともに、27人の方が1日も早く回復して元気な生活を取り戻すことを願っています。
植松容疑者は、犯行予告手紙の中で「障害者は不幸を作ることしかできない」「(障害者を抹殺することが)全人類のために必要不可欠」と記しています。
「優秀」な者にのみ存在価値を認める優生思想に基づくヘイトクライム(社会的少数者に対する差別犯罪)であり、絶対にあってはならない犯罪です。
それが起きてしまったことに深い悲しみと憤りを覚えるとともに、今後絶対に同じような事件を起こしてはいけないと強く思います。
街なかでも、「障害者」への暴力的な嫌がらせが発生しています。 「障害」のある仲間達は、残念ながらヘイトクライムと背中合わせの中での生活を強いられているのです。
その現実の重さに、身の引き締まる思いです。
私達は、「障害者」の地域生活を支援する団体です。
ヘイトクライムの現場では、使える手段をすべて使って仲間の命と尊厳を守ります。
そして、弱肉強食の競争至上主義が人と人を分断し、優生思想やヘイトクライムを生み出していることに鑑み、社会から優生思想をなくす活動に取り組みます。
また政府は、この事件が「精神障害」が原因の犯罪であるかのように印象づけて、措置入院制度の見直し等を行なおうとしています。
優生思想による犯罪であるという本質を曖昧にし、なおかつ「精神障害者」への差別・隔離を強化するという、許せない問題のすり替えです。
私達は、このような政治の動向にも、強く異議を唱えます。
優生思想との闘いは、「健常者」、「障害者」を問わず、この社会に生きるすべての者が自らの課題とすべきものです。
とりわけ、「障害者」の地域生活に関わる支援者には、それを積極的に担う責任があります。
私達も、自らの中の優生思想を絶えず点検しつつ、優生思想やヘイトクライムとの闘いを自らのものとして取り組んでいきます。
以上
【しゅぷれひこーる】
こっかくていげんを じつげんしろ!
きほんごういをまもれ!
けんぽうにじゅうごじょうを まもれ!
せいかつほごを きりさげるな!
せいかつほごひを ふやせ!
ひつようなひとに かいじょのほしょうを!
あんしんできる かいじょのしくみを つくろう!
かいじょしゃの せいかつを ほしょうしろ!
かいごほけんじゃ くらせない!
しせつは いえじゃない!
しせつに とじこめるな!
びょういんは いえじゃない!
びょういんに とじこめるな!
しんたいこうそく はんたい!
なんびょうしゃに ねんきん、ふくしを ほしょうしろ!
すべてのこどもは ちいきのがっこうへ!
いのちを きりすてるな!
なかまを ころすな!
つくいやまゆりえんじけんを わすれないぞ!
ゆうせいしそう はんたい!
ちいきで ずーっと くらしていくぞ!
わたしたちぬきに わたしたちのことを きめるな!
わたしたちは にんげんだ!
わたしたちは たたかうぞ!
だいふぉーらむを つづけるぞ!
(2019大フォーラム)
しょうがいしゃの介助制度を、介護保険制度に統合しようとする動きに反対する決議
内閣総理大臣安倍晋三様 厚生労働大臣加藤勝信様
厚生労働省は、社会保障審議会・介護保険部会において、介護保険制度の改定に向け、今年 12 月にも 報告を取りまとめ、法改定の必要な部分については、来年の通常国会に法案を提出しようとしています。 ・介護保険部会は、被保険者・受給者範囲に関する論点として「『介護保険制度の普遍化』を目指すべき か、『高齢者の介護保険』を維持するべきか」、「第1号被保険者と第2号被保険者の対象年齢について、 どう考えるか」など、しょうがいしゃの制度を介護保険制度に統合することにつながる内容をあげてい ます。かつて厚労省は、20歳以上の人を介護保険料の徴収対象として、しょうがいしゃの制度を介護保 険に組み込もうとする方向を打ち出していましたが、その再燃が起ころうとしています。
また、安倍政権は今年9月、「全世代型社会保障検討会議」を立ち上げ、社会保障の「システム自体の 改革」を掲げています。第2次安倍内閣発足後すぐに生活保護費の大幅削減を行い、介護保険の利用料 負担2割、3割の導入をしてきたことを、私たちはけっして忘れるわけにはいきません。
「介護保険制度は、社会参加・社会生活における介助を認めておらず、家族介護を前提として設計され ています。介護保険にしょうがいしゃの制度が統合されれば、介助制度の大幅な改悪となることは明ら
かです。私たちは、強い危機感をもって、この事態に立ち向かわなければならないと考えます。
介護保険統合はまた、2010年に、障害者自立支援法違憲訴訟団と国の間で交わされ、裁判の和解内容 となった「基本合意文書」を、そして「骨格提言」を踏みにじることとなります。批准した障害者権利 条約に基づいた国内法規さえも無視することとなります。
他方、私たちは、介護保険制度そのものをも放置できないと考えます。少ない年金の人からも保険料 は取り立てるが、利用料の払えない人や介護度の低い人には介護を保障しない制度であり、その結果、 2週に1回ともいわれる介護殺人が起こっているなど虐待が後を絶ちません。
私たちは、このような介護保険制度は廃止し、憲法に則り、政府の責任で、年齢にかかわりなく、す べての人に必要な福祉、介助を保障し、地域での暮らしを保障する制度をつくるべきだと考えます。
こうした観点から以下のことを国に要請します。
(1) 「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(「骨格提言」)を完全に実現する制度を
構築してください。 (2)9月に採択された障害者の権利に関する委員会の「初回の日本政府報告に関する質問事項」に誠
実に回答してください。 (3) 介護の保障を行うことのできない介護保険制度は廃止し、すべての人が必要な介助を受けて地域
で生活できる制度を構築してください。
2019年10月30日
「骨格提言」の完全実現を求める2019年集会参加者一同
◇2019年10月30日基調報告◆
「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(「骨格提言」)が2011年8月にできてから、 8年以上が過ぎました。厚生労働省は、これを段階的に実現していくと答弁してきましたが、今、どの ような段階にあるのか、「骨格提言」に記された「障害者総合福祉法がめざすべき6つのポイント」から 考えたいと思います。
(1)「障害のない市民との平等と公平」はどうか 生活保護費の削減もあり、しょうがいしゃの所得はむしろ引き下げられ、その生活は、ますます苦し いものとなっています。
そんな中で昨年、公的機関によるしょうがいしゃ雇用率の水増し問題が発覚しました。政府や自治体 にかかわる機関そのものが、ともにしょうがいしゃと働くことを拒んできた実態が明らかとなったので す。その後に、しょうがいしゃ採用がおこなわれ、中央省庁では、18年10月から19年6月までに計 3444 人を採用しました。しかし、職場環境になじめなかったり、体調が悪化したりするなどの理由で、 すでに161 人が離職したと報じられています。雇用率は、19年6月段階で2.31%にとどまり、法定雇
用率を満たせていません。
(2)「谷間や空白の解消」はどうか 障害者総合支援法の対象となる難病は、少しずつ拡大され、現在361 となっていますが、5000 ある ともいわれる難病のほんの一部にすぎません。私たちは、障害支援区分認定に当てはまるにもかかわら ず福地の給付から難病者を排除する厚労省と闘ってきましたが、理由にもならないことを並べて応じよ うとしないその姿勢には、怒りを禁じえません。
そればかりか、障害基礎年金を受けてきた難病の方々の年金を打ち切るという、とんでもないことが おこなわれました。2016年に年金を打ち切られた1型糖尿病の大阪の方々は、不当な打ち切りに対して たちあがり、裁判を起こしました。行政手続法上、違法性があると認められ、今年4月11日に勝利判 決を勝ち取りましたが、国は判決の趣旨を無視し逆手にとって形だけの理由を提示して、この方々への 年金支給を拒否しました。その後、原告は再提訴し新たな裁判闘争が展開されています。他方、東京で も、昨年から1型糖尿病患者の西田えみ子さんが、年金を支給しようとしない国を相手取って裁判で争 っています。こうした闘いの結果、その後の年金打ち切りを阻止する力関係をつくり出してきています。
参議院議員の総後さん、木村さんの当選は、議員活動に重度訪問介護を使うことができないという介 助制度の空白問題を表面化させました。このことは、就労や就学などにかかわる移動や現場での介助(同 行援護、行動援護、移動支援などを含む)を、法律ではなく、厚労省の告示だけで制限してきた問題も、 改めて社会に提起しました。他方、介助者不足が深刻となり、生活全般を含めた介助の危機が進行して います。船後議員、木村議員は、多くのしょうがいしゃ団体や国会議員に呼びかけて、この状況を打破 しようと取り組んでいます。
(3)「格差の是正」はどうか
自治体間の格差是正について、国は積極的に解消する措置をとってきていません。そのため、同一都
道府県内においても、受けられる福祉に差のある状態が続いています。これを打ち破るための運動が各 地でおこなわれています。
しょうがいしゃ間で受けられる福祉の状況に差があることも、国や自治体自身は解消をはかるろうと していません。この格差を解消するためのたたかいも各地で展開されていますが、東京では、しょうが い当事者とせいしんしょうがいしゃ家族の団体が一緒になり、新たに、精神保健福祉手帳1級の方だけ ではありますが、重度心身障害者医療費助成制度を適用させることができました。
(4) 「放置できない社会問題の解決」はどうか
「放置できない社会問題」とは、精神科病院への長期入院、入所施設における長期入所、家族依存と いった問題をさしています。精神科病院の状況では、2017年に、20年以上の入院者が2万5932人お り、この中には毎日新聞の調査で判明した50年以上の入院者1773人が含まれます。こうした状況の改 善は、ほとんど進んでいません。また、隔離・身体拘束も未だ増え続け、身体拘束による死亡をめぐる 訴訟もおきています。
入所施設にも多くの仲間が収容されていますが、とりわけ、ちてきしょうがいしゃは、日本のちてき しょうがいしゃ総数の 11.1%が施設収容の状態にあります。住んでいる地域とからはるかに離れた施設 に送り込まれることも、依然として続いています。津久井やまゆり園の再建にあたって、隔離収容が批 判されましたが、グループホームなどに移った人はいまだに3人にすぎません。
大阪府寝屋川市における監禁致死事件、兵庫県三田市の監禁事件などは、家族依存の在り方がこのよ うな監禁を生み出していることをあらわにしました。
(5)「本人のニーズにあった支援サービス」についてはどうか
先に制度の谷間や空白、格差の問題でも指摘しましたが、ニーズが満たされる状況にはなく、65歳以 下のしょうがいしゃを介護保険制度に誘導する自治体も多くあります。
(6) 「安定した予算の確保」についてはどうか 財務省は、障害区分認定が重く出る傾向を問題視し、家事援助の廃止など、しょうがいしゃ関係予算 の削減を要請してきており、とても安定した予算が確保されている状況ではありません。
こうした状況を踏まえるとき、しょうがいしゃ運動の全国的な強化なしには、「骨格提言」を実現する
ことができないことは明らかです。しょうがいしゃ福祉制度を介護保険に統合しようとする動きが顕在 化し、いのちを選別する優生政策が強められようとする中、運動の強化が待ったなしに求められていま す。それなしでは、これまで積み上げてきたことさえも水泡に帰してしまうかもしれません。今こそ、 連帯を広げ、行動を拡大していきましょう。
★介護保険統合の動きとどう闘うか
大フォーラム実行委員会に結集する仲間は、65歳になったら介護保険を優先適用しようとする行政と 粘り強く交渉を続けてきました。しょうがいしゃの制度を利用し続けたいという仲間を支援し、各地で 交渉を行い、65歳を過ぎてもしょうがいしゃの制度を使い続ける実例をいくつもつくり出してきました。 昨年 12 月の浅田訴訟の地裁に続く岡山高裁の勝利は、こうした私たちの運動を、大いに勇気づけて
くれました。千葉でたたかわれている天海さんの訴訟にも連帯し、勝利を勝ち取りましょう。
他方、障害者総合支援法は、2016年の改定に続く 2017年の「地域包括ケアシステムの強化のための 介護保険法等の一部を改正する法律」による改定を受けて、介護保険制度との連携を深めるものとされ てきました。こうした動きを受けて、「骨格提言」を生み出した障害者制度改革推進会議の総合福祉部会 の副部会長を務めた茨木尚子さんをはじめ、何人もの学者が介護保険統合への警告を発しています。、 たちは今年2月10日に茨木さんの講演会を開催し、たたかう決意を新たにしました。
こうした指摘通り、厚労省の社会保障審議会・介護保険部会では、介護保険統合につながる議論がお こなわれています。その資料を見ると、40歳~64歳までの第2号被保険者の数を増やさないと介護保 険制度の財政を支えられないという論理で、第2号被保険者の範囲を30歳以上などに拡大する検討が おこなわれているのです。その筋書き・論理の中で、しょうがいしゃを介護保険制度の対象とする議論 が紹介され、参考として「骨格提言」とそのもととなった「障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と 国(厚生労働省)との基本合意文書」も記載されていますが、厚労省の意図は、「骨格提言」や「基本合 意文書」を尊重するのではなく、いかに踏みにじるかを検討していると考えるべきではないでしょうか。
財務省は、介護保険制度について、利用者負担を原則2割にすること、ケアプランの有料化、要介護 1・2の人を給付対象から外し、訪問介護や通所介護を要支援同様に地域支援事業に移すことなど、利 用者負担の増大と介護保障の形骸化を厚労省に求めています。 「介護保険部会は12月にも報告書をまとめ、法改正の必要な部分は来年の通常国会に法案として提出 することを予定しています。また、6月に発表された安倍内閣の「経済財政運営と改革の基本方針 2019」 (「骨太の方針 2019」)では、「骨太方針 2020 において、給付と負担の在り方を含め社会保障の総合的 かつ重点的に取り組むべき政策を取りまとめる」と記載しており、ここに向けて、「全世代型社会保障検 討会議」を立ち上げて検討に入っています。第二次安倍内閣は、その成立直後に生活保護費の大幅引き 下げをおこない、介護保険の利用者負担に2割、3割負担を導入しました。毎年発表される「骨太の方 針」では、防衛力の大幅増強をうたうと一方で、社会保障予算については「歳出改革(社会保障費削減) の加速・拡大」をうたってきたのです。私たちは、重大な局面を迎えています。
●私たちは、いかなる方向を進むのか
しょうがいしゃの制度が介護保険に統合された場合、介助時間の大幅削減など多くの不利益が生じる ことは、しょうがいしゃの多くが認識しています。では、高齢者福祉の状況、介護保険制度の在り方そ のものを問わなくていいのでしょうか、こうした議論を私たちは2017年法改定をめぐっておこなっ てきました。そして、この法改定に反対するとともに、高齢者の福祉も「骨格提言」の内容にそって変 革すべきであることを確認しました。
厚労省の「介護保険事業状況報告の概要(平成31年1月暫定版)」によれば、要介護(要支援)認定 者数は656.0万人で、このうち、何らかの介護を受けている人を合計すると560.5万人です。認定を受
1.95.5万人の人が介護保険の給付を受けていないのです。つまり、介護保険は 介護を保障する制度になっていないのです。国民年金の受取金額の平均は5万5千円ですから、そこか ら保険料は取られるが、利用料を払う余裕がなく、介護保険のサービスを受けることができない人たち が存在するのでしょう。そういう人たちにとっては、やらずぼったくりの制度なのです。こうした状況 の下で、介護殺人が2週間に1度の割合で起こっているのです。
しょうがいしゃの法制度では、理念として、社会参加を促進し、社会生活を支える制度であることが
うたわれています。介護保険には、そのような趣旨はありません。したがって、しょうがいしゃの制度 にある移動のための支援は、通院などを除けば位置付けられておらず、家事援助などの範囲も狭められ
2017年の介護保険法の改悪では、医療・リハビリテーションのアプローチを使って、要介護度を下げ たり介護時間を減らしたりすることが、報酬上も評価される制度となりました。医療モデルの強化です。 高齢者に無理を強いたり、リハビリの効果が出ない人たちがじゃまもの扱いされるようなことがあって はなりません。
私たち市民にとって必要なのは、誰でも、年齢に関係なく、必要な介助を受け、地域で暮らせる制度 です。障害者権利条約も「骨格提言」もこれを目指しています。そのためには、介護保険制度は廃止す るしかないと考えます。
障害者自立支援法違憲訴訟団は、裁判での国との和解内容である「基本合意文書」において「新たな 福祉制度の構築に当たっては、現行の介護保険制度との統合を前提とはせず」と国に約束させました。
来年 2020 年1月7日におこなわれる自立支援法違憲訴訟団主催の「基本合意10年 全国集会」に 連帯して結集しましょう。
★いのちの選別との闘い
●旧優生保護法被害者の叫びと行動が切り開いたもの
昨年1月に佐藤由美さんが、そして、5月には飯塚淳子さんが、損害賠償を求めて提訴したことに始 まり、全国に広がった旧優生保護法被害者の闘いは、重要な歴史的前進を勝ち取りました。
19年4月24日、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法
しかし、反省とお詫びの主体が「我々」と抽象的であり、違点かどうかにも触れ
ず、優生保護法に基づく中絶を受けた人は、この法律の対象となっていません。一時金の額は320万円 で、事故による生殖機能の損害賠償と比較してもあまりにも低い金額です。そして、この一時金の申請 にあたっても、被害者が多くのハードルに苦しんでいる実態があります。それでも、国会と内閣総理大 臣が「お詫びと反省」を表明したことには大きな前進があります。
そして、5月28日に、佐藤さんと飯塚さんに対する仙台地裁の判決がありました。旧優生保護法を 違憲としながらも、訴えを棄却したのです。強制不妊手術を受けた時から時間がたって、損害賠償請求 権は20年で消滅すると規定する民法の「除斥期間」を過ぎてしまったことを理由にしています。強大 な権力を持つ国に対しては、「除斥期間」を認めること自体がまちがっています。佐藤さんと飯塚さんは 控訴し、来年1月から仙台高裁での弁論が始まります。また、東京の北三郎さんをはじめ、全国でのた たかいが続いています。
津久井やまゆり園事件以後、優生思想という言葉が大きく取り上げられ、社会的に議論となってきま した。こういう中で、優生政策が違憲であり不正義であることを、日本の歴史に刻印した旧被害者のみ
なさんの勇気と行動力は、重要な段階を切り開いたと言えるでしょう。こうした闘いに私たちも連帯し、 真の責任を追及していきましょう。
●出生前・着床前診断の拡大の動き
日本産科婦人科学会(日産婦)は、今年2019年3月2日に、新型出生前診断(NIPT)をおこなうこ とのできる医療機関を、カウンセリング体制などを持たない開業医にまで広げる方針を打ち出し、これ に対して、しょうがいしゃぐ女性団体からの批判はもちろん、日本人類遺伝学会、日本小児科学会、日 本遺伝看護学会からも批判がまきおこりました。背景には、無認可で NIPT を行う医療機関が増加し、 その多くは産科婦人科ではない医療機関がおこなっているという実態があります。社会的に優生思想が
あおられている実態の反映です。
こうしたなかで厚労省は、7月29日に、日産婦の施設拡大方針に待ったをかけ、実態調査を厚労省 としておこなう方針を明らかにしました。10月21日には、「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT) の調査等に関するワーキンググループ」の審議が始まっています。この調査を通して、国が正式にNIPT を認可、あるいは推進することとなれば、優生思想をさらにあおりたてることは確実です。このことを 警戒しなければなりません。
イギリスをはじめとしたヨーロッパ諸国の中では、政府の政策として出生前診断がおこなわれている 国々があり、社会保障費の抑制政策として使われている側面があるといいます。欧米で、日本以上に「無 益な治療」論、「尊厳死・安楽死」の推進が進められている背景には、こうした影響があるのではないで
しょうか。
他方、日産婦は、着床前診断の対象拡大を進めています。「網膜芽細胞腫」など、治療すればいのちに 影響しない病気までを、その研究対象にしています。
また、政府は、がんと難病の医療のためとして、全ゲノム解析を進めていくことを「骨太の方針 2019」 で打ち出しました。着床前診断と全ゲノム解析、そしてゲノム編集などが推進されれば、新たな優生政 策が展開される危険性をもちます。
●進むいのちの切り捨てに抗して
昨年2018年8月16日、東京都の公立福生病院で、透析を中止された女性(Aさん)が亡くなりまし た。病院側の提示した透析中止の選択に同意してしまい、その後に、尿毒症の苦しみの中から透析再開 を訴え、お連れ合いも透析の再開を要請したにもかかわらず、病院はこれを無視したのです。最後には、 大量の鎮静剤が投与され、亡くなったのでした。
報じられている公立福生病院の医師たちの発想には、露骨な優生思想があります。腎不全の人を「終 末期」状態として、透析を「無益でかたよった延命措置」と言います。「尊厳死」を推奨し、胃ろうや人 工呼吸器を使って生きることを否定するような発言。「正気な時の意思」とそうでないときの意思を区別 し、前者を優先する発言をおこなっていますが、これは、認知症の人、精神障害者や知的障害者を差別 する発想です。こうした発想のもとで、4人の透析中止、20人の透析非導入がおこなわれてきたのです。
厚労省のガイドラインさえ無視するこの病院の対応について、日本透析医学会はこれを問題なしとし、 むしろ透析中止の選択を積極的に提示するために学会のガイドラインを改悪しようとしているのです。
こうした動きに対して、Aさんのご家族が10月17日に民事裁判を提訴しました。いのちの切り捨て
を許さない力強い取り組みとして応援していきましょう。
この事件の背景として、政府の、医療を打ち切って死なせる「消極的安楽死」の推進があります。厚 生労働省は2007年に「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を発表し、「消極的安楽死」 のための基準を初めて公表しました。その後、2回の改定を経て「人生の最終段階における医療の決定 プロセスに関するガイドライン」と名前が変わっています。
法的には、2012年の「社会保障制度改革推進法」、2013年の「社会保障改革プログラム法」で、「消 極的安楽死」の推進を記載しました。そして、昨年の「経済財政運営と改革の基本方針 2018」や同 2019 の中でも、政府を挙げてこれを推進することを記載しています。これら政府全体の方針の特徴は、社会 保障の改悪を推進する方針とともに、「消極的安楽死」を推進していることです。
政府は 2018年の診療報酬の改定において、30日以内に緩和ケア病棟の患者が追い出されるしくみを つくりました。「さっさと死ね」という本音を露骨にあらわしています。
私たちは、あらゆる人たちが、隔離されたり、切り捨てられたりすることなく、生きられる社会にし たいと思います。たとえ、「死にたい」と言う人がいたとしても、その人に「あなたと一緒に生きていき たい」と声をかけられる社会でなければなりません。人はいつか死ぬものですが、死に瀕した人たちの いのちにも希望を託し、共に過ごすことのできる社会でなければなりません。
公立福生病院事件をはじめ、いのちを切り捨てるさまざまな動きは決して容認できません。政府の社 会保障やいのちを切り捨てる方針に対しては、断固としてたたかいます。
★ともに生きるための社会変革を
いま、日本の社会の中では、100万人を超える人々が「引きこもり」の状態にあり、しょうがいしゃ だけでなく、高齢者、児童、女性などさまざまな人々に対して虐待がおこなわれています。在日外国人 をはじめ差別されてきた人々に、ヘイトスピーチ、ヘイトクライムが向けられる深刻な社会情勢です。 こうしたなかで、津久井やまゆり園事件という許しがたい大きな事件もおきています。
特別支援学校における、ちてきしょうがいしゃの在籍数は増え続け、選別・隔離がますます進められ ています。また、外国出身の児童も特別支援学校に就学させられていることが報じられています。「じゃ まものを排除する」という姿勢が強められているのでしょうか。
人を排除せず、ともに暮らせる地域社会をつくること、一人ひとりの苦しみに向き合いその解決をは かること、しょうがいしゃ運動のつちかってきたこの思想は、この社会を変える大きな力をもっている と信じます。
安倍内閣は、改憲を推進しています。とんでもない! 幸福追求権、平等権、生存権、社会保障・福祉が増進され、憲法が具体的に実現される社会に、この 社会を変えなければならないと考えます。
こうした観点からさまざまな立場の人と連帯し、希望のある未来を、私たち自身の力でつくり出して 行きましょう。
10.30 大フォーラム2019集会
「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム
ことしもやります!大フォーラム!
【賛同を!】個人1口\500円 団体1口\3,000円
郵便振替口座 00110…0-292158
加入者名「大フォーラム実行委員会」
※ 賛同金の振込みと同時に、下記申込書に記入しFAXまたは同内容をEメールでお送りください。
FAX 03-5450-2862 /
Eメール hands@sh.rim.or.Jp
「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム 賛同申込書
・個人賛同(お名前、肩書きや地域)
または
・団体賛同(団体名)
・お電話
・Eメール
・賛同費 ( )口
お名前の公表 (ど ちらかに○を)
可 ・不可
◇「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会◇
事務局:〒154-0021 東京都世田谷区豪徳寺1-32-21スマイルホーム豪徳寺1F自立センターHANDS世田谷
tel/03-5450-2861/FAX 03-5450-2862 /
Eメール hands@sh.rim.or.Jp
毎月一回、都内で会議をひらいています。
どなたでも参加できます。
★★★「骨格提言」の完全実現を求める10・30大フォーラム2019実行委員会★★★
(2019年 9月現在/順不同)
〈呼びかけ団体〉
日本脳性マヒ者協会 全国青い芝の会/
全国公的介護保障要求者組合/
ピープルファーストジャパン/
精神障害者権利主張センター 絆/
障害者の生活保障を要求する連絡会議(障害連)/
神経筋疾患ネットワーク/
怒っているぞ!障害者切りすて!全国ネットワーク/
全国ピアサポートネットワーク/
兵庫県精神障害者連絡会/
神奈川県障害者自立生活支援センター/
自立生活センター・グッドライフ/
こら一るたいとう/
スタジオIL文京/
自立生活センター日立川/
CILくにたち援助為センター/
町田ヒューマンネットワーク/
自立生活センター・たいとう/
あいえるの会/
自立生活センター三田/
自立生活センター北/
ガチャバンともに生きる会/
鈴木敬治さんと共に移動の自由をとりもどす会/
自立生活センター福岡/
特定非営利活動法人むく魔法陣/
世田谷介助者ユニオン/
基準該当事業所「新しい空」/
脳性マヒ者の会一歩の会/
自立生活センター HANDS世田谷
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