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こちらは、2019年以前の資料が詰まっています!貴重な資料が満載
★「骨格提言」とは、2011年8月、政府に設置された障害者制度改革推進会議の総合福祉部会が発表した「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」のことをさします
「骨格提言」は、「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」というもので、2011年8月に障がい者制度改革推進会議総合福祉部会がまとめた文章です。「提言」では、人を線引きしない福祉施策をもと求めています。この考え方は、日本を含む世界の仲間が長年訴えてきたものであり、日本も批准した障害者権利条約に通ずるものです。
【しゅぷれひこーる】
こっかくていげんを じつげんしろ!
きほんごういをまもれ!
けんぽうにじゅうごじょうを まもれ!
せいかつほごを きりさげるな!
せいかつほごひを ふやせ!
ひつようなひとに かいじょのほしょうを!
あんしんできる かいじょのしくみを つくろう!
かいじょしゃの せいかつを ほしょうしろ!
かいごほけんじゃ くらせない!
しせつは いえじゃない!
しせつに とじこめるな!
びょういんは いえじゃない!
びょういんに とじこめるな!
しんたいこうそく はんたい!
なんびょうしゃに ねんきん、ふくしを ほしょうしろ!
すべてのこどもは ちいきのがっこうへ!
いのちを きりすてるな!
なかまを ころすな!
つくいやまゆりえんじけんを わすれないぞ!
ゆうせいしそう はんたい!
ちいきで ずーっと くらしていくぞ!
わたしたちぬきに わたしたちのことを きめるな!
わたしたちは にんげんだ!
わたしたちは たたかうぞ!
だいふぉーらむを つづけるぞ!
(2019大フォーラム)
しょうがいしゃの介助制度を、介護保険制度に統合しようとする動きに反対する決議
内閣総理大臣安倍晋三様 厚生労働大臣加藤勝信様
厚生労働省は、社会保障審議会・介護保険部会において、介護保険制度の改定に向け、今年 12 月にも 報告を取りまとめ、法改定の必要な部分については、来年の通常国会に法案を提出しようとしています。 ・介護保険部会は、被保険者・受給者範囲に関する論点として「『介護保険制度の普遍化』を目指すべき か、『高齢者の介護保険』を維持するべきか」、「第1号被保険者と第2号被保険者の対象年齢について、 どう考えるか」など、しょうがいしゃの制度を介護保険制度に統合することにつながる内容をあげてい ます。かつて厚労省は、20歳以上の人を介護保険料の徴収対象として、しょうがいしゃの制度を介護保 険に組み込もうとする方向を打ち出していましたが、その再燃が起ころうとしています。
また、安倍政権は今年9月、「全世代型社会保障検討会議」を立ち上げ、社会保障の「システム自体の 改革」を掲げています。第2次安倍内閣発足後すぐに生活保護費の大幅削減を行い、介護保険の利用料 負担2割、3割の導入をしてきたことを、私たちはけっして忘れるわけにはいきません。
「介護保険制度は、社会参加・社会生活における介助を認めておらず、家族介護を前提として設計され ています。介護保険にしょうがいしゃの制度が統合されれば、介助制度の大幅な改悪となることは明ら
かです。私たちは、強い危機感をもって、この事態に立ち向かわなければならないと考えます。
介護保険統合はまた、2010年に、障害者自立支援法違憲訴訟団と国の間で交わされ、裁判の和解内容 となった「基本合意文書」を、そして「骨格提言」を踏みにじることとなります。批准した障害者権利 条約に基づいた国内法規さえも無視することとなります。
他方、私たちは、介護保険制度そのものをも放置できないと考えます。少ない年金の人からも保険料 は取り立てるが、利用料の払えない人や介護度の低い人には介護を保障しない制度であり、その結果、 2週に1回ともいわれる介護殺人が起こっているなど虐待が後を絶ちません。
私たちは、このような介護保険制度は廃止し、憲法に則り、政府の責任で、年齢にかかわりなく、す べての人に必要な福祉、介助を保障し、地域での暮らしを保障する制度をつくるべきだと考えます。
こうした観点から以下のことを国に要請します。
(1) 「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(「骨格提言」)を完全に実現する制度を
構築してください。 (2)9月に採択された障害者の権利に関する委員会の「初回の日本政府報告に関する質問事項」に誠
実に回答してください。 (3) 介護の保障を行うことのできない介護保険制度は廃止し、すべての人が必要な介助を受けて地域
で生活できる制度を構築してください。
2019年10月30日
「骨格提言」の完全実現を求める2019年集会参加者一同
◇2019年10月30日基調報告◆
「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(「骨格提言」)が2011年8月にできてから、 8年以上が過ぎました。厚生労働省は、これを段階的に実現していくと答弁してきましたが、今、どの ような段階にあるのか、「骨格提言」に記された「障害者総合福祉法がめざすべき6つのポイント」から 考えたいと思います。
(1)「障害のない市民との平等と公平」はどうか 生活保護費の削減もあり、しょうがいしゃの所得はむしろ引き下げられ、その生活は、ますます苦し いものとなっています。
そんな中で昨年、公的機関によるしょうがいしゃ雇用率の水増し問題が発覚しました。政府や自治体 にかかわる機関そのものが、ともにしょうがいしゃと働くことを拒んできた実態が明らかとなったので す。その後に、しょうがいしゃ採用がおこなわれ、中央省庁では、18年10月から19年6月までに計 3444 人を採用しました。しかし、職場環境になじめなかったり、体調が悪化したりするなどの理由で、 すでに161 人が離職したと報じられています。雇用率は、19年6月段階で2.31%にとどまり、法定雇
用率を満たせていません。
(2)「谷間や空白の解消」はどうか 障害者総合支援法の対象となる難病は、少しずつ拡大され、現在361 となっていますが、5000 ある ともいわれる難病のほんの一部にすぎません。私たちは、障害支援区分認定に当てはまるにもかかわら ず福地の給付から難病者を排除する厚労省と闘ってきましたが、理由にもならないことを並べて応じよ うとしないその姿勢には、怒りを禁じえません。
そればかりか、障害基礎年金を受けてきた難病の方々の年金を打ち切るという、とんでもないことが おこなわれました。2016年に年金を打ち切られた1型糖尿病の大阪の方々は、不当な打ち切りに対して たちあがり、裁判を起こしました。行政手続法上、違法性があると認められ、今年4月11日に勝利判 決を勝ち取りましたが、国は判決の趣旨を無視し逆手にとって形だけの理由を提示して、この方々への 年金支給を拒否しました。その後、原告は再提訴し新たな裁判闘争が展開されています。他方、東京で も、昨年から1型糖尿病患者の西田えみ子さんが、年金を支給しようとしない国を相手取って裁判で争 っています。こうした闘いの結果、その後の年金打ち切りを阻止する力関係をつくり出してきています。
参議院議員の総後さん、木村さんの当選は、議員活動に重度訪問介護を使うことができないという介 助制度の空白問題を表面化させました。このことは、就労や就学などにかかわる移動や現場での介助(同 行援護、行動援護、移動支援などを含む)を、法律ではなく、厚労省の告示だけで制限してきた問題も、 改めて社会に提起しました。他方、介助者不足が深刻となり、生活全般を含めた介助の危機が進行して います。船後議員、木村議員は、多くのしょうがいしゃ団体や国会議員に呼びかけて、この状況を打破 しようと取り組んでいます。
(3)「格差の是正」はどうか
自治体間の格差是正について、国は積極的に解消する措置をとってきていません。そのため、同一都
道府県内においても、受けられる福祉に差のある状態が続いています。これを打ち破るための運動が各 地でおこなわれています。
しょうがいしゃ間で受けられる福祉の状況に差があることも、国や自治体自身は解消をはかるろうと していません。この格差を解消するためのたたかいも各地で展開されていますが、東京では、しょうが い当事者とせいしんしょうがいしゃ家族の団体が一緒になり、新たに、精神保健福祉手帳1級の方だけ ではありますが、重度心身障害者医療費助成制度を適用させることができました。
(4) 「放置できない社会問題の解決」はどうか
「放置できない社会問題」とは、精神科病院への長期入院、入所施設における長期入所、家族依存と いった問題をさしています。精神科病院の状況では、2017年に、20年以上の入院者が2万5932人お り、この中には毎日新聞の調査で判明した50年以上の入院者1773人が含まれます。こうした状況の改 善は、ほとんど進んでいません。また、隔離・身体拘束も未だ増え続け、身体拘束による死亡をめぐる 訴訟もおきています。
入所施設にも多くの仲間が収容されていますが、とりわけ、ちてきしょうがいしゃは、日本のちてき しょうがいしゃ総数の 11.1%が施設収容の状態にあります。住んでいる地域とからはるかに離れた施設 に送り込まれることも、依然として続いています。津久井やまゆり園の再建にあたって、隔離収容が批 判されましたが、グループホームなどに移った人はいまだに3人にすぎません。
大阪府寝屋川市における監禁致死事件、兵庫県三田市の監禁事件などは、家族依存の在り方がこのよ うな監禁を生み出していることをあらわにしました。
(5)「本人のニーズにあった支援サービス」についてはどうか
先に制度の谷間や空白、格差の問題でも指摘しましたが、ニーズが満たされる状況にはなく、65歳以 下のしょうがいしゃを介護保険制度に誘導する自治体も多くあります。
(6) 「安定した予算の確保」についてはどうか 財務省は、障害区分認定が重く出る傾向を問題視し、家事援助の廃止など、しょうがいしゃ関係予算 の削減を要請してきており、とても安定した予算が確保されている状況ではありません。
こうした状況を踏まえるとき、しょうがいしゃ運動の全国的な強化なしには、「骨格提言」を実現する
ことができないことは明らかです。しょうがいしゃ福祉制度を介護保険に統合しようとする動きが顕在 化し、いのちを選別する優生政策が強められようとする中、運動の強化が待ったなしに求められていま す。それなしでは、これまで積み上げてきたことさえも水泡に帰してしまうかもしれません。今こそ、 連帯を広げ、行動を拡大していきましょう。
★介護保険統合の動きとどう闘うか
大フォーラム実行委員会に結集する仲間は、65歳になったら介護保険を優先適用しようとする行政と 粘り強く交渉を続けてきました。しょうがいしゃの制度を利用し続けたいという仲間を支援し、各地で 交渉を行い、65歳を過ぎてもしょうがいしゃの制度を使い続ける実例をいくつもつくり出してきました。 昨年 12 月の浅田訴訟の地裁に続く岡山高裁の勝利は、こうした私たちの運動を、大いに勇気づけて
くれました。千葉でたたかわれている天海さんの訴訟にも連帯し、勝利を勝ち取りましょう。
他方、障害者総合支援法は、2016年の改定に続く 2017年の「地域包括ケアシステムの強化のための 介護保険法等の一部を改正する法律」による改定を受けて、介護保険制度との連携を深めるものとされ てきました。こうした動きを受けて、「骨格提言」を生み出した障害者制度改革推進会議の総合福祉部会 の副部会長を務めた茨木尚子さんをはじめ、何人もの学者が介護保険統合への警告を発しています。、 たちは今年2月10日に茨木さんの講演会を開催し、たたかう決意を新たにしました。
こうした指摘通り、厚労省の社会保障審議会・介護保険部会では、介護保険統合につながる議論がお こなわれています。その資料を見ると、40歳~64歳までの第2号被保険者の数を増やさないと介護保 険制度の財政を支えられないという論理で、第2号被保険者の範囲を30歳以上などに拡大する検討が おこなわれているのです。その筋書き・論理の中で、しょうがいしゃを介護保険制度の対象とする議論 が紹介され、参考として「骨格提言」とそのもととなった「障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と 国(厚生労働省)との基本合意文書」も記載されていますが、厚労省の意図は、「骨格提言」や「基本合 意文書」を尊重するのではなく、いかに踏みにじるかを検討していると考えるべきではないでしょうか。
財務省は、介護保険制度について、利用者負担を原則2割にすること、ケアプランの有料化、要介護 1・2の人を給付対象から外し、訪問介護や通所介護を要支援同様に地域支援事業に移すことなど、利 用者負担の増大と介護保障の形骸化を厚労省に求めています。 「介護保険部会は12月にも報告書をまとめ、法改正の必要な部分は来年の通常国会に法案として提出 することを予定しています。また、6月に発表された安倍内閣の「経済財政運営と改革の基本方針 2019」 (「骨太の方針 2019」)では、「骨太方針 2020 において、給付と負担の在り方を含め社会保障の総合的 かつ重点的に取り組むべき政策を取りまとめる」と記載しており、ここに向けて、「全世代型社会保障検 討会議」を立ち上げて検討に入っています。第二次安倍内閣は、その成立直後に生活保護費の大幅引き 下げをおこない、介護保険の利用者負担に2割、3割負担を導入しました。毎年発表される「骨太の方 針」では、防衛力の大幅増強をうたうと一方で、社会保障予算については「歳出改革(社会保障費削減) の加速・拡大」をうたってきたのです。私たちは、重大な局面を迎えています。
●私たちは、いかなる方向を進むのか
しょうがいしゃの制度が介護保険に統合された場合、介助時間の大幅削減など多くの不利益が生じる ことは、しょうがいしゃの多くが認識しています。では、高齢者福祉の状況、介護保険制度の在り方そ のものを問わなくていいのでしょうか、こうした議論を私たちは2017年法改定をめぐっておこなっ てきました。そして、この法改定に反対するとともに、高齢者の福祉も「骨格提言」の内容にそって変 革すべきであることを確認しました。
厚労省の「介護保険事業状況報告の概要(平成31年1月暫定版)」によれば、要介護(要支援)認定 者数は656.0万人で、このうち、何らかの介護を受けている人を合計すると560.5万人です。認定を受
1.95.5万人の人が介護保険の給付を受けていないのです。つまり、介護保険は 介護を保障する制度になっていないのです。国民年金の受取金額の平均は5万5千円ですから、そこか ら保険料は取られるが、利用料を払う余裕がなく、介護保険のサービスを受けることができない人たち が存在するのでしょう。そういう人たちにとっては、やらずぼったくりの制度なのです。こうした状況 の下で、介護殺人が2週間に1度の割合で起こっているのです。
しょうがいしゃの法制度では、理念として、社会参加を促進し、社会生活を支える制度であることが
うたわれています。介護保険には、そのような趣旨はありません。したがって、しょうがいしゃの制度 にある移動のための支援は、通院などを除けば位置付けられておらず、家事援助などの範囲も狭められ
2017年の介護保険法の改悪では、医療・リハビリテーションのアプローチを使って、要介護度を下げ たり介護時間を減らしたりすることが、報酬上も評価される制度となりました。医療モデルの強化です。 高齢者に無理を強いたり、リハビリの効果が出ない人たちがじゃまもの扱いされるようなことがあって はなりません。
私たち市民にとって必要なのは、誰でも、年齢に関係なく、必要な介助を受け、地域で暮らせる制度 です。障害者権利条約も「骨格提言」もこれを目指しています。そのためには、介護保険制度は廃止す るしかないと考えます。
障害者自立支援法違憲訴訟団は、裁判での国との和解内容である「基本合意文書」において「新たな 福祉制度の構築に当たっては、現行の介護保険制度との統合を前提とはせず」と国に約束させました。
来年 2020 年1月7日におこなわれる自立支援法違憲訴訟団主催の「基本合意10年 全国集会」に 連帯して結集しましょう。
★いのちの選別との闘い
●旧優生保護法被害者の叫びと行動が切り開いたもの
昨年1月に佐藤由美さんが、そして、5月には飯塚淳子さんが、損害賠償を求めて提訴したことに始 まり、全国に広がった旧優生保護法被害者の闘いは、重要な歴史的前進を勝ち取りました。
19年4月24日、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法
しかし、反省とお詫びの主体が「我々」と抽象的であり、違点かどうかにも触れ
ず、優生保護法に基づく中絶を受けた人は、この法律の対象となっていません。一時金の額は320万円 で、事故による生殖機能の損害賠償と比較してもあまりにも低い金額です。そして、この一時金の申請 にあたっても、被害者が多くのハードルに苦しんでいる実態があります。それでも、国会と内閣総理大 臣が「お詫びと反省」を表明したことには大きな前進があります。
そして、5月28日に、佐藤さんと飯塚さんに対する仙台地裁の判決がありました。旧優生保護法を 違憲としながらも、訴えを棄却したのです。強制不妊手術を受けた時から時間がたって、損害賠償請求 権は20年で消滅すると規定する民法の「除斥期間」を過ぎてしまったことを理由にしています。強大 な権力を持つ国に対しては、「除斥期間」を認めること自体がまちがっています。佐藤さんと飯塚さんは 控訴し、来年1月から仙台高裁での弁論が始まります。また、東京の北三郎さんをはじめ、全国でのた たかいが続いています。
津久井やまゆり園事件以後、優生思想という言葉が大きく取り上げられ、社会的に議論となってきま した。こういう中で、優生政策が違憲であり不正義であることを、日本の歴史に刻印した旧被害者のみ
なさんの勇気と行動力は、重要な段階を切り開いたと言えるでしょう。こうした闘いに私たちも連帯し、 真の責任を追及していきましょう。
●出生前・着床前診断の拡大の動き
日本産科婦人科学会(日産婦)は、今年2019年3月2日に、新型出生前診断(NIPT)をおこなうこ とのできる医療機関を、カウンセリング体制などを持たない開業医にまで広げる方針を打ち出し、これ に対して、しょうがいしゃぐ女性団体からの批判はもちろん、日本人類遺伝学会、日本小児科学会、日 本遺伝看護学会からも批判がまきおこりました。背景には、無認可で NIPT を行う医療機関が増加し、 その多くは産科婦人科ではない医療機関がおこなっているという実態があります。社会的に優生思想が
あおられている実態の反映です。
こうしたなかで厚労省は、7月29日に、日産婦の施設拡大方針に待ったをかけ、実態調査を厚労省 としておこなう方針を明らかにしました。10月21日には、「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT) の調査等に関するワーキンググループ」の審議が始まっています。この調査を通して、国が正式にNIPT を認可、あるいは推進することとなれば、優生思想をさらにあおりたてることは確実です。このことを 警戒しなければなりません。
イギリスをはじめとしたヨーロッパ諸国の中では、政府の政策として出生前診断がおこなわれている 国々があり、社会保障費の抑制政策として使われている側面があるといいます。欧米で、日本以上に「無 益な治療」論、「尊厳死・安楽死」の推進が進められている背景には、こうした影響があるのではないで
しょうか。
他方、日産婦は、着床前診断の対象拡大を進めています。「網膜芽細胞腫」など、治療すればいのちに 影響しない病気までを、その研究対象にしています。
また、政府は、がんと難病の医療のためとして、全ゲノム解析を進めていくことを「骨太の方針 2019」 で打ち出しました。着床前診断と全ゲノム解析、そしてゲノム編集などが推進されれば、新たな優生政 策が展開される危険性をもちます。
●進むいのちの切り捨てに抗して
昨年2018年8月16日、東京都の公立福生病院で、透析を中止された女性(Aさん)が亡くなりまし た。病院側の提示した透析中止の選択に同意してしまい、その後に、尿毒症の苦しみの中から透析再開 を訴え、お連れ合いも透析の再開を要請したにもかかわらず、病院はこれを無視したのです。最後には、 大量の鎮静剤が投与され、亡くなったのでした。
報じられている公立福生病院の医師たちの発想には、露骨な優生思想があります。腎不全の人を「終 末期」状態として、透析を「無益でかたよった延命措置」と言います。「尊厳死」を推奨し、胃ろうや人 工呼吸器を使って生きることを否定するような発言。「正気な時の意思」とそうでないときの意思を区別 し、前者を優先する発言をおこなっていますが、これは、認知症の人、精神障害者や知的障害者を差別 する発想です。こうした発想のもとで、4人の透析中止、20人の透析非導入がおこなわれてきたのです。
厚労省のガイドラインさえ無視するこの病院の対応について、日本透析医学会はこれを問題なしとし、 むしろ透析中止の選択を積極的に提示するために学会のガイドラインを改悪しようとしているのです。
こうした動きに対して、Aさんのご家族が10月17日に民事裁判を提訴しました。いのちの切り捨て
を許さない力強い取り組みとして応援していきましょう。
この事件の背景として、政府の、医療を打ち切って死なせる「消極的安楽死」の推進があります。厚 生労働省は2007年に「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を発表し、「消極的安楽死」 のための基準を初めて公表しました。その後、2回の改定を経て「人生の最終段階における医療の決定 プロセスに関するガイドライン」と名前が変わっています。
法的には、2012年の「社会保障制度改革推進法」、2013年の「社会保障改革プログラム法」で、「消 極的安楽死」の推進を記載しました。そして、昨年の「経済財政運営と改革の基本方針 2018」や同 2019 の中でも、政府を挙げてこれを推進することを記載しています。これら政府全体の方針の特徴は、社会 保障の改悪を推進する方針とともに、「消極的安楽死」を推進していることです。
政府は 2018年の診療報酬の改定において、30日以内に緩和ケア病棟の患者が追い出されるしくみを つくりました。「さっさと死ね」という本音を露骨にあらわしています。
私たちは、あらゆる人たちが、隔離されたり、切り捨てられたりすることなく、生きられる社会にし たいと思います。たとえ、「死にたい」と言う人がいたとしても、その人に「あなたと一緒に生きていき たい」と声をかけられる社会でなければなりません。人はいつか死ぬものですが、死に瀕した人たちの いのちにも希望を託し、共に過ごすことのできる社会でなければなりません。
公立福生病院事件をはじめ、いのちを切り捨てるさまざまな動きは決して容認できません。政府の社 会保障やいのちを切り捨てる方針に対しては、断固としてたたかいます。
★ともに生きるための社会変革を
いま、日本の社会の中では、100万人を超える人々が「引きこもり」の状態にあり、しょうがいしゃ だけでなく、高齢者、児童、女性などさまざまな人々に対して虐待がおこなわれています。在日外国人 をはじめ差別されてきた人々に、ヘイトスピーチ、ヘイトクライムが向けられる深刻な社会情勢です。 こうしたなかで、津久井やまゆり園事件という許しがたい大きな事件もおきています。
特別支援学校における、ちてきしょうがいしゃの在籍数は増え続け、選別・隔離がますます進められ ています。また、外国出身の児童も特別支援学校に就学させられていることが報じられています。「じゃ まものを排除する」という姿勢が強められているのでしょうか。
人を排除せず、ともに暮らせる地域社会をつくること、一人ひとりの苦しみに向き合いその解決をは かること、しょうがいしゃ運動のつちかってきたこの思想は、この社会を変える大きな力をもっている と信じます。
安倍内閣は、改憲を推進しています。とんでもない! 幸福追求権、平等権、生存権、社会保障・福祉が増進され、憲法が具体的に実現される社会に、この 社会を変えなければならないと考えます。
こうした観点からさまざまな立場の人と連帯し、希望のある未来を、私たち自身の力でつくり出して 行きましょう。
10.30 大フォーラム2019集会
「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム
ことしもやります!大フォーラム!
【賛同を!】個人1口\500円 団体1口\3,000円
郵便振替口座 00110…0-292158
加入者名「大フォーラム実行委員会」
※ 賛同金の振込みと同時に、下記申込書に記入しFAXまたは同内容をEメールでお送りください。
FAX 03-5450-2862 /
Eメール hands@sh.rim.or.Jp
「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム 賛同申込書
・個人賛同(お名前、肩書きや地域)
または
・団体賛同(団体名)
・お電話
・Eメール
・賛同費 ( )口
お名前の公表 (ど ちらかに○を)
可 ・不可
◇「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会◇
事務局:〒154-0021 東京都世田谷区豪徳寺1-32-21スマイルホーム豪徳寺1F自立センターHANDS世田谷
tel/03-5450-2861/FAX 03-5450-2862 /
Eメール hands@sh.rim.or.Jp
毎月一回、都内で会議をひらいています。
どなたでも参加できます。
★★★「骨格提言」の完全実現を求める10・30大フォーラム2019実行委員会★★★
(2019年 9月現在/順不同)
〈呼びかけ団体〉
日本脳性マヒ者協会 全国青い芝の会/
全国公的介護保障要求者組合/
ピープルファーストジャパン/
精神障害者権利主張センター 絆/
障害者の生活保障を要求する連絡会議(障害連)/
神経筋疾患ネットワーク/
怒っているぞ!障害者切りすて!全国ネットワーク/
全国ピアサポートネットワーク/
兵庫県精神障害者連絡会/
神奈川県障害者自立生活支援センター/
自立生活センター・グッドライフ/
こら一るたいとう/
スタジオIL文京/
自立生活センター日立川/
CILくにたち援助為センター/
町田ヒューマンネットワーク/
自立生活センター・たいとう/
あいえるの会/
自立生活センター三田/
自立生活センター北/
ガチャバンともに生きる会/
鈴木敬治さんと共に移動の自由をとりもどす会/
自立生活センター福岡/
特定非営利活動法人むく魔法陣/
世田谷介助者ユニオン/
基準該当事業所「新しい空」/
脳性マヒ者の会一歩の会/
自立生活センター HANDS世田谷
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